さあプレゼンテーションを始めよう‐5W1Hの話‐
例えば学会発表に向けて、例えば就職面接の場で、例えば新製品の発表会で。人生には、思っているよりずっと多くのプレゼンテーションのチャンスがあります。
では、近い将来自分がプレゼンテーションをすると分かった時、まず何をするべきでしょうか?
もし早速PowerPointなりKeynoteを立ち上げた人が居たら、代わりにメモ帳を立ち上げましょう。sakuraでも、UnEditorでもTeraPadでもEvernoteでも結構です。「あなたがメモを取るのに普段使うソフト」を立ち上げて下さい。
ここでは、プレゼンテーションを作り始めるにあたって、是非やっておいて欲しいと思うことを紹介したいと思います。
5W1H
唐突ですが、5W1Hという言葉をご存知でしょうか。欧州で暮らしていた人には"Five Ws"という方がしっくり来るかも知れませんね。恐らく世界で最も開かれているだろう百科事典の言葉を借りれば、
ニュース記事の最初の段落はリードと呼ばれる。ニューススタイルの規則では、リードには以下の「5W」の多くを含むべきとされている。すなわち、
Who(誰が) What(何を) When(いつ) Where(どこで) Why(なぜ)したのか。
である。しかし日本においては、「5W」にさらに下記の「1H」を含む「5W1H」であるべきであるとされる。
How(どのように)
日本では、教育現場で国語や英語の文法の指導に使われることもある。
5W1H - Wikipediaより、2012年1月31日に抜粋
という意味を持つそうです。もしかしたら日本では、「5W1H疑問文」の一言が一番馴染み深いかも知れません。
実はプレゼンテーションにも、プレゼンテーションの5W1Hがあります。そして、プレゼンテーションを作り始める前に、是非それを明確にしておくことを勧めます。つまり、
- What:「なに」を話すのか?
- Why:「なぜ」それを話す必要があるのか?
- Who:「誰が」それを聞きに来るのか?
- Where:「どこで」それを話すのか?
- When:「いつ」それを話すのか?
- How:「どのように」それを伝えるのか?
の5つです。*1
やってみる
一つ、例を出しましょう。
あなたは就活のまっただ中で、某S社の一風変わった採用試験に臨もうとしています。面接のような質問は一切無く、ただ「あなたが決めた自由なテーマで、10分間のプレゼンテーションをして下さい」という試験です。こんな時、あなたならどんな5W1Hを書きだすでしょうか。
ここで重要なのは、6つの項目を可能な限りシンプルにすることです。出来れば一文、多くても二文に収まる程度にしましょう。
出来ましたか?
例えば、私ならこうします。
- What:自分とプログラミングとの関わりについて
- Why:自分の過程を知って貰うことで、自分というエンジニアを少しでも理解して欲しい
- Who:S社の社員十数名(採用担当者以外も含む)
- Where:S社の202会議室
- When:20XX年2月1X日 14時20分〜 10分間
- How:PowerPointのスライドを使って、O-PREP-Oの3-point構成で
このプレゼンテーションが果たして採用試験をパスするかどうかは置いておいて・・・・・・。一体何故、こんな物を書き残しておく必要があるのでしょうか?
プレゼンテーションの5W1Hの意義
先ほど書いた例を見れば分かる通り、5W1Hの内容は大した捻りもない、きっと誰もが思いつく程度の物です。けれど、プレゼンテーションを作る時、本当にあなたはこの6つ全てを意識しながら、或いは意識の片隅に置きながら、プレゼンテーションに向きあっていますか?
ここに、この6つを書き出して置く意義があります。
恐らく多くの人が、先ほどの6つがプレゼンテーションの骨格づくりに大きな役割を果たすことに気がつくでしょう。
"What"は言うまでもなくプレゼンテーションのメインテーマたる物ですし、"Why"が定まっていないプレゼンテーションほど見苦しい物も有りません。意外と重要なのが"Who"で、プレゼンテーションを作る際に、オーディエンスの性質や求める物を意識しながら作ったのとそうでないのとでは、大きな差が生まれてきます。
"Where"と"When"は、自分がプレゼンテーションをする環境を失念しないために非常に有効な項目です。可能であれば、事前にプレゼンテーションを行う会場の広さや、プロジェクターの位置などの調査も行いたい所ですし、自分の発表がお昼ご飯の直後なのか、朝一番なのかで、発表の性質は随分変わってくるでしょう。"How"を明確にしておくことで、自分のプレゼンテーションの構成にブレが無くなるのは言わずもがなです。
これらの骨格をあえて書き出すことで、自分のプレゼンテーションに対する認識漏れを無くし、道を誤った時の判断を素早く行うことができます。プレゼンテーションの作成中に適応参照することで、ブレの無いプレゼンテーションを作り上げることにも繋がります。
たった6項目を書き出すのに、そんなに大した時間は要りません。さあ、早速5W1Hの書き出しに取り掛かりましょう。
*1:勿論この5つは私の勝手な思い付きですが、先人たちの中にコレを思い付いた人が居なかった可能性は低いでしょう。似たような項目について触れている書籍をご存じの方は、是非私にお知らせ下さい。